国は国民健康保険の運営を2018年に市町村から都道府県に移管することを決めました。
低所得者が多い国保制度の運営で市町村は「国保財政が大変だ」「赤字だ」「保険料を上げなければいけない」とよく言います。しかし、その原因は国が大幅に負担金を減らし、市町村がその分を加入者の保険料に転嫁してきたからです。
従って国保運営を改善する最大のポイントは国の負担金を大幅に増額することです。
現在、都道府県化にあたって国が約束している財源は消費税増税の時に投入すると約束していた1700億円と大企業の社員が加入する健保組合と公務員共済組合の負担を増やして国保財政に浮いた分を回すというものです。
当初、全国知事会は「国保を協会けんぽ並みの負担にするには1兆円は必要だ」と声高に叫んでいましたが、どんなアメや裏取引があったのか3400億円で納得したようです。
これでは国保の運営を都道府県化したところで、高すぎる保険料の引き下げどころか、さらなる値上げに直結します。
さらに都道府県化で保険料の集め方が大きく変わります。
これからは都道府県が過去の医療費実績や所得に応じて各市町村に保険料総額を「分賦金(ぶんぷきん)」として割り当てます。分賦金は100%納付しなければならず、収納率が低い市町村はその不足分を徴収強化や保険料の値上げで集めようとする可能性があります。差押えや独自減免の縮小、年度内完納がいっそう強まることも考えられ、現にいくつかの市町村が都道府県化に合わせて、一般会計の繰り入れを減らす動きが出ています。
1月21日に「中央社会保障推進協議会」が厚労省と交渉した時、担当係長は
「市町村が独自に行う一般会計からの繰り入れや独自の減免制度も権限はこれまで通り」
「国も都道府県も市町村の会計に口出しすることはできない」と回答しました。
つまり保険料や減免制度は一律ではなく市町村ごとに決めるやり方を続ける方向です。
ただ、今年の4月から医療費給付が都道府県に一元化されることにより、大阪では各市町村が大阪府に拠出金を共同負担します。大阪市など一部を除きほとんどの自治体では大幅な負担増になるため、それを口実に保険料の値上げ問題が出てくる可能性があります。
大商連では、国保都道府県化の最新情勢について
2月9日に学習会を開催します(夜7時スタート)
社会保障制度である国保を守り、自営業者が健康で働き続けられるように各市町村への運動を強めていきます。