事業主の夫と一緒に働く家族従業者の業者婦人は毎日朝から晩まで働いても、所得税法第56条があるため、給料として必要経費に認められず、事業主の所得から年間86万円が控除されるだけです。妻でなく娘や息子なら50万円しか控除できません。時給にすれば、妻は358円、子どもは208円にしかならず最低賃金以下です(1ヶ月25日8時間で計算)。
給料が認められないだけでなく、
〇社会保険には認められている出産手当や傷病手当が、中小業者の多くが加入する国保では認められないなど社会保障が劣悪
〇交通事故にあった場合の賠償額が、専業主婦の1日あたり5700円に対し、家族従業者は2300円しかない
〇息子や娘が家族従業者の場合は、住宅ローンが組めない
・・・など様々な不利益や差別を受けています。
大商連婦人部協議会は創立以来40年、「業者婦人の働き分(給料)を認めよ」と声をあげてきました。今年も56条廃止を求め、1月13日に大阪府・男女共同参画課(以下 男女課)と、2月10日に大阪市の男女課と懇談してきました。
仕事の合間をぬって参加した業者婦人は、
「毎日必死で働き、商売を支えてきたのに、給料が認められず、老後の人生設計ができない。56条が業者婦人の自立を阻んでいる。働いた分の給料が認められるのは人間として当然。私たちは何十年も声を上げている。もう、ええかげんにして欲しい。」
「毎年、男女課と懇談や交渉をしているが、『56条は国の問題』『税の専門家でないので判断できない』など門前払いされる。しかし、56条問題はまさに女性の人権問題。国連の女性差別撤廃委員からも指摘を受けており、男女課が率先して廃止に向け動くべき。もっと業者婦人の実態を知って!」
「これまで地域経済を支えてきたのは中小業者。業者婦人が果たしてきた役割の大きさを考えると、56条を放置することはあまりにもひどい仕打ちではないか。」
「今年は戦後70年、そして日本が女性差別撤廃条約を批准して30年の節目の年。女性差別撤廃条約は、全ての『女性』に対するあらゆる差別をなくし、男女の間に真の平等を実現することを目的としているはず。業者婦人は、『女性』にも入れてもらえないのか。」
「アベノミクスは『女性の活躍』と言うが、私たち業者婦人は『活躍』どころか、一人の人間としても認められていない。本当に女性の活躍を願うなら直ちに56条の廃止を」
など次々と発言。
また、大阪市の男女課には、「『慰安婦は必要だった』『(財界人は)御堂筋の高層マンションに愛人を2~3人住まわせて』など度重なる橋下市長の女性蔑視発言は許せない。そういう思想が根本にあるから、府・市の女性施策が後退しているのでは?」と迫りました。
残念ながら、男女課からは「税制の専門家でないので分からない」「国の問題なので・・・」など期待はずれの返答しか得られませんでしたが、大婦協はひきつづき府、市議会への請願署名や議員要請など運動していきます。