1月17日(土)に開催された「テレビが言わない世界のリアル!」と題した、フリージャーナリストの西谷文和さんの講演会に行ってきました。主催はかえるネット豊中でした。
西谷さんは、「戦争と原発のつながり」、「イスラム国問題の本質」、「安倍さんと橋下さんの共通点」の3つのテーマで講演。
はじめに、2001年から始まった米英軍主導の攻撃以降のアフガニスタンの状況を映像で紹介。病院では、先天性異常や腫瘍など劣化ウラン弾による被害で苦しんでいる子どもたちが数多くいて、食糧や医薬品が決定的に足りない難民キャンプでは、真冬には氷点下20度以下になる厳しい気候にも関わらず粗末なテントでの生活を強いられているなど、一向によくならない現状がありました。
そして西谷さんは、劣化ウラン弾について、「核燃料の材料になるウランというのは天然の金属の中で最も重くて硬い。その性質を利用して、戦車砲や機関砲の弾に加工したのが劣化ウラン弾」と解説。
「では、この劣化ウラン弾はどこからやってきたのか?」と疑問を投げかけ、「それは、日本やアメリカの原発で使われている核燃料用の濃縮ウランをつくる過程で、捨てられる「燃料として使えないウラン」が原材料になっている」と暴露。
そして、「そもそも原発と核兵器は、同じ技術によるもの。世界初の原子炉は、1942年にアメリカの『マンハッタン計画』(原爆開発)の一環で建造された、プルトニウム生産炉だった。つぎに開発されたのは、原子力潜水艦。潜水艦用の原子炉を陸に上げて発電に使い始めたのは1957年のこと。」と原子力の技術史を紐解き、「原発は、はじめから戦争のための技術として開発されてきた。」と説明しました。
そして、「でもこの事実を皆さんは知らないし、テレビでも報道しない。それは、電力会社が莫大な広告費をエサにしてマスコミをコントロールしているから。」と指摘。
「原発をつくればつくるほど、稼働させればさせるほど、電気料金が値上げできて電力会社は儲かる。ここに原子力村の利権がある。これと同じ構造が、戦争にも当てはまる」と言い、湾岸戦争の時の「ナイラの涙」というでっち上げ事件を紹介。
「戦争というものは、ウソで始まる。なぜならミサイル1発は数千万円、戦闘機1機が数十億円と、軍需産業が大儲けできるから。そのために広告会社が暗躍して、世論を扇動したり、マスコミがどうでもいいニュースばかり流して真実を隠している。」と糾弾しました。
「イスラム国」問題については、「まずシリアでは今も無実の市民が、一日あたり50~100人が死んでいる。」という悲惨な状況を映像で紹介。シリアの地理や歴史を紹介し、「この内戦が終わらないのは、天然ガスのパイプラインを通したいカタールやサウジアラビアと、通させたくないロシアやイランの利権争いが根本にあるから。」と指摘。
そのうえで、「内戦が長引く中で、多くの資金や武器が流れ込み過激派組織が育ってしまった。それがイスラム国だ。急に勢力を拡大した背景には、イラク戦争後のイラクの混乱がある。アメリカが作ったマリキ首相率いる新生イラク政府はシーア派至上主義で、スンニ派狩りをして、イラク北部で多くの住民を拷問・虐殺していった。武装して抵抗していたスンニ派住民たちは、イラク軍を追い出すためにやむなくイスラム国を受け入れた。
その結果、彼らは銀行と油田を強奪して莫大な資金を手に入れ、さらにスンニ派の湾岸諸国が武器や資金を援助したので、巨大な勢力になってしまった。これはアメリカの無謀なイラク戦争の負の遺産だ」と鋭く指摘。
そして別に、宗教がちがうだけで殺し合いなんかしないですよ。それまで仲良く暮らしていたんだから。それにイスラム国を名乗る原理主義集団の残虐なやり方には、シーア派やクルド人、ヤジディ教徒だけでなく、まじめなスンニ派も迷惑している。なおかつ「イスラム国」は逆らう者を無差別に虐殺している。テロとの戦いが終わらないのは、米英軍が空爆を繰り返すせいで多くの市民が巻き添えになり、恨みを持った人が新たなテロリストになるから。そして効果がないと分かっているのに空爆を続けるのは、欧米の軍需産業が儲かるからだ。」と告発しました。
また、アフガニスタンで米軍の車列を追い抜こうとしたときの経験を紹介し、アフガンで車に乗ってた時に、前に米軍の車列が見えたんです。急いでいたので、僕はドライバーにあれを追い越そうと伝えて、追い抜くことにしました。しばらく走っていたら、目の前がピカッと緑色に光ったんです。それを見た通訳がここで止まれと言ったんです。どうして?と聞くと、あのまま進んでいたら次は赤色のレーザーを撃たれていた、と言うんです。
それでも止まらなかったら?と聞くと、今度はレーザーじゃなく銃弾が飛んでくると。米軍にしてみたら、周りに敵が潜んでいるかもしれないと思うわけです。だから不用意に近づいてくる人に対してはレーザーを撃って威嚇をします。でも現地の人は英語が分からないしレーザーの意味も分からないので近づきすぎて撃たれることが毎日のように起こっていました。集団的自衛権を使って自衛隊がイラクやアフガンに行くことになれば、必ずおんなじように現地の無実の人を殺してしまうことになるでしょう」と、自身の経験を踏まえた上で警告しました。
最後に、西谷さんは、「戦争と原発には共通点がある、と言いましたが、おんなじように安倍さんと橋下さんにも共通点があります。」と前置きし「それは、この二人のバックにいる財界が、マスコミを操って不都合な情報を隠したり、テレビで年収700万の公務員がけしからんと言ってワーキングプアの若者たちを扇動しているところです。」と、安倍さんたちと結託したマスコミが、スポンサーである富裕層のもうけは報道せずに、同じ労働者の間の格差を誇張して人々を分断していることを改めて強調。
そして、「大阪の某ホテルは、クリスマスにスイートルームとディナーで1泊150万円の宿泊プランを売り出したことがあります。それをするのは、そんな値段でも泊まる人がいると思っているからでしょ?私たちは、こういう人たちに10万円のホテルで我慢して残りの140万円は納税しろ!と迫っていく運動をしていかないといけないんです。」と、みんなで団結して大企業・財界の不正とたたかっていこう、と呼びかけられました。
私たち、民商も負けずに「3.13重税反対統一行動」やドラムデモ・宣伝などで、おかしな税制や大企業の横暴、政府の逆立ちした経済政策のデタラメさをどんどん訴えていこう、という思いを新たにしました!